最初に逢ったのは広場。 直ぐ、印象が残ったよ。 櫻井蓮。 名前も、その姿も、纏ってた雰囲気も。 俺には衝撃で。 言ってる事、起す行動。 全てが初めての人。 あっという間に、逆らえない人になってた。 敵わない、この人には。 有り過ぎる程の魅力。 溢れるほどの言葉。 緋色の髪は目を惹いて。 その視線を逸らせなくて。 仕草にますます捕らわれる。 蓮が持ってる極上はこれだけじゃなくて。 向けてくれる笑顔が優しくて、綺麗で。 それは思わず見惚れる程の。 音楽室で弾いてくれたピアノ。 今では一番大切になった。 曲名を知らない俺が、唯一知ってた「パッフェルベルのカノン」 柔らかな音を奏でる指を吸い寄せられるように見てた。 音楽の事は良く分からないけど、楽器とか、きっとその人の本当が素直に現れるって思うから。 だから、蓮はきっと、あの音そのままの人なんだろう。 優しい、柔らかい、・・・それから暖かい。 逢う度言うのに、だけど蓮は苦笑してゆっくり首を振る。 そんな事ないと思うけど・・って笑って首を振る。 でもな、蓮。 冷たくて、刺刺しくて、痛いばっかりの人の周りには、 どう頑張ったって、こんな空気は無いって思うから。 蓮の周りの人が笑顔を零せば零すだけ、それは蓮がもたらしたもの。 誉められたら素直に「ありがとう」って言うもんだ、って言ったのは他でもない、蓮なんだから。 首を振るなら、横じゃなくて縦に振って。 それから笑顔でもくれたら、俺はめっちゃ幸せだよ。 ドンナヒト? そんな質問もしされたら。 ───俺が知ってる、櫻井蓮って人物は。 良く俺のこと揶揄って。 一生懸命だな、って笑って。 そしてそれから。 言葉を大事にしてる人。 ちゃんと届けようって思ってる人。 例えそれで傷つけるとしても、ちゃんと本当を話してくれる人。 痛い思いをするのは、自分だって一緒なのに、相手を思いやる優しい。 そんな人。 まだまだ、ある。蓮の良いところなら沢山言える。 でも、苦笑しそうなのが分かるから、此れ以上は内緒にしとこうか。 礼なんて言い足りないし。 嬉しいって言葉も使い過ぎな位。 喜んでる、この気持ちを表す言葉を俺はあまり持っていなくて。 誰か、開発してくれればいいのに。 そしたら、もっと伝えられるのに。 嬉しい、楽しい、暖かい、優しい、 まだまだある、俺を笑顔にしてくれたこんな気持ちを、沢山くれて。 ────────ありがとう。 BACK |
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