俺の最初を知ってる人、それが秀也。
初めての場所の初めての先輩。
慣れない会話。
本当は少し怖くて。
敬語じゃなくて良いなんて言われたって、拭い去れなかった年上のイメージ。
あの時は緊張して「水上さん」なんて呼んでて。

だけど。

いつからだろう。
全然気にならなくなってたんだよ。

話すのが楽。笑うのが自然。
ふと気づけば周りに向けられてる心配り。
何時もふざけてると思ってると裏切られる。
こういうの何て言えば良いんだろう。


水上秀也は凄いイイって思うけど、その分上手い言葉が見つからない。


例えば外見。
短めの髪、それに纏う黒。
めっちゃ似合ってるって思うし。

もしかしたらキツイ印象与えるかもしれない、眼差しも。
話してみたら、あっと言う間に。
優しく緩められて。

「妹が作るって言ったからそのついで」
そう言ってくれた秀也作のレアチーズ。
午前中で完食した位美味しかったのは、味だけじゃなくて。
秀也の手作り、そこも大事なとこだった。


それから何時も感じてるのは。


人望。あるってめっちゃ確信。
だって暖かい人柄してるから。
皆に好かれてるのだって見てれば分かる。人気者、なんだって。

話すのが楽しいから、逢いに行っちゃうし、実際爆笑連発。
少し位元気無くても、気付くと笑ってる自分が居て。
でも。お笑い方面だけなんて思ってない。

優しい事、ちゃんと伝わってきてる。
かなり救われた、言葉の遣り取り。
礼言ったら。
『悟だから返そうって思うんだし』
なんて返ってきた。
顔が笑顔になってくの、止められなかったんだ。
そう言う、幾つもの『嬉しい』を。
両手から零れ落ちても、まだ足りない位、貰ってきてる。



『元気無い時、学校来ちゃ駄目なのか?』
真面目に言ったんじゃない。冗談交じりに、何気なしに言っただけ。
『来てもいいけど、速攻拉致』


何だよ、それって笑ったけど。
結局、笑って終わったけど。

微妙なタイミングに貰った言葉はゆっくりゆっくり染みていく。
自然に笑顔が一つ浮かんで。
秀也がそれを分かってるのかどうかは、分かんないけど。
沢山の冗談の中、必ず感じてる。
自分では自分の事誉めたりするくせに、俺がホントに本音で言うと笑って終わらせるから。



だからちゃんと言うからな?
秀也がいい人で。
しっかり格好良いって事。
それに。
いっぱいの、ありがとうも。
今日はちゃんと受け取って。


秀也が、友達なのが嬉しいって。
思ってる。感じてる。ずっと今まで。


そしてきっと。




─────────────────これからも。










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