その人は、とても綺麗に微笑む人で。

その人は、とても優雅に振り向く人で。


髪が流れるその一瞬でさえ、ふと視線釘漬けになりそうな程。
見掛けて、逢えて、遊べた日は。
何かもう、うきうきして大変な位に。
下手すると、名前見ただけでアゲハーって、心が笑っちゃうかもしれなくて。

知り合ってまだ少しの頃、帰っちゃうのか?
そう聞いた俺に、帰っちゃうんだよ、と優しく言ってくれた事が何だかとっても嬉しかった。

正式に星楓の生徒として食堂で再会。
ホントは、緊張してたんだ。
何話したら良いかって、いっぱいぐるぐる考えて。
だけど気付いたら時間があっと言う間。
あの時から、あの夜に。
久遠寺揚羽をいっぱいいっぱい好きになった。

声が、音楽みたいだなって思う事がある。
眼差しが、何だか凄い柔かくて。
綺麗に綺麗に笑うから、時々じっと見てたくなる。
一度だけ、アゲハが何だか元気無さそうだった時。
ありがと?って俺をぎゅうってしたアゲハ。
何があったか分かんないし、聞いても、何でも無いって首振るからそれ以上はただぎゅうした腕に力を込めた。
辛くても、寂しくても。
微笑で隠してしまえそうで、少しだけ。
大ジョブか?
無理しないでな?
俺はアゲハが好きだから。例え、笑ってなくても。怒ってても。
多分きっと好きだから。

俺に恋人が出来た時。
ずっとずっと心配掛けてたから秀也とアゲハに。
あの時、間近でくれたアゲハの笑顔。
凄い綺麗で、めっちゃ優しくて。
何でそんなにぎゅうって、おめでと?って。
ホントに暖かい気持ちに包まれ過ぎて、泣きたくなって仕方なかった。

手を伸ばしたらぎゅうって。
寂しいって思ってたら直ぐバレて。
時々、揶揄らかわれたりもするんだけどな?
真っ直ぐに俺の目見て、悟、って呼んでくれて。
その度、顔が勝手に笑うんだ。
逢う度、気持ちが嬉しいって言ってる。

どうかアゲハが、自然に笑っていられるように。
どうか独りになんてならないように。
ほんのちょっとしんどくなったら、ちゃんと休めるように。

知り合い始めた昔より、今のがずっとそう思って。
今日、アゲハの背中見掛けたら、めっちゃぎゅうってしに行くから。

アゲハに逢いに、行くから。










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