瀬能未夜。 綺麗なのは名前だけじゃなくて、仕草笑顔口調。 全てに纏う落ちついた雰囲気。 大人の人だなぁ、って当たり前な事を逢う度何時も思ってた。 みゃーちゃん、って呼ぶ度、「ん?」って振り返ってくれるのが嬉しかった。 俺が困ってた時、何時も助けに来てくれた。 例えば、酔った後輩に絡まれてた時。 例えば、揶揄にぐるぐるとパニック起こしてた時。 例えば、…寂しかった時。 何時からか、俺は勘違いしてた。 みゃーちゃんは大人で。脆いとことか弱いとことか見た事なくて。 強い、のとは違うけど。 だけど、それに近い事思ってた。 あれは体育館。見かけて逢いに行ったら明らかに様子が違かった。 「今、近付いたら何するか分からないよ」 そんな時でさえ、微笑んで言ってみせるから。 だだ無償に切なくなる。 みゃーちゃんになら、何されても良い。 あの時言ったのは、嘘でも偽りでもなくて俺の本当。 みゃーちゃんなら良い。例え、怒られようと怒鳴られようと。 俺はみゃーちゃん好きだから。 ずっとずっと、大人だと思ってた綺麗な人は、ホントは弱いとこも脆いとこもちゃんと持ってた。 ただ、見せてなかっただけで。 何時まで経っても何処にも行かなかった俺を、みゃーちゃんはぎゅうって。 見上げた顔には、何時もより寂しげな笑顔が浮かんでて。 みゃーちゃん、って呼ぶしか出来なくて。 辞めるって言った時、とんでも無い事言ったのは今も覚えてる。 ─ …案外好かれてたんだな、俺は … ─ 怒られて当然。 俺だって怒る。 何が案外。あれだけ皆が好きだって伝えてたのに、一体何聞いてたんだ。 俺が泣いて。 あの場に居た友人達は怒って。 そしたら、ごめんてまた笑う。そんな時まで綺麗なのはずるいって思う。 あれから大分経って、みゃーちゃんはもう学校には居なくて。 優しい指先とか。 めっちゃ柔かそうな髪とか。 眼鏡越しに細められてた暖かい目とか。 時々ふと思い出して、いっぱいいっぱい逢いたくなるよ。 何も言わないのに、俺の気持ち汲んでくれた人。 本当は強い訳じゃなくて、脆いとこも弱いとこもあった人。 幸せならいいよ、って抱き締めてくれた人。 きっと家族のように、近い人。 人惹き付ける魅力沢山な、ずっと傍に居たのにやっぱりどうしても照れるような。 そんなオーラを持ち合わせてる人。 瀬能未夜。 愛称、みゃーちゃん。 思い出せばその分、逢いたいなぁって思っちゃう、人。 BACK |
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